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開けた瞬間がたまらない。おべんとう箱の蓋を開けてもらった時だ。
蓋を開ける時の、少し照れくさそうな、また恥ずかしそうな表情。でもどこか見てもらいたい気持ちも伝わってくる。 たくさん旅に出た。そして、たくさんのおべんとうと、たくさんのおべんとうの時間に出会った。 むかし、友だちの家に初めて行った時、味わった感覚を思い出す。自分の家と同じようで同じではない。新鮮な驚きと発見があった。匂い、照明の明るさ、階段を上る音、遠くから聞こえる家族の声。友だちに小さな声で「こっち」といって、手を引っ張られる。すると、このままどこか遠くへ、どこか異次元の世界に飛んで行くように、ドキドキワクワクしたものだ。 そんな体験から四十年近く経った今、いつもの味、いつもの姿のおべんとうに会う旅で、またドキドキワクワクした気持ちを味わっている。 母や父、妻や夫、子ども、また友人や恋人が作ってくれたおべんとう、そして、そのおべんとうを食べる人を通して、その向こう側にあるものを見たかった。 「はじめに」より ■『おべんとうの時間』 2010年4月1日発行 木楽舎 < 前のページ次のページ >
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